(31)カラテNINJA ジムカタ

↑(左)こんなシーンはありません(右)頭の不自由な人たちを旋回でなぎ倒す主人公

“GYMKATA”/“カラテNINJA GYMKATA ジムカタ”
1985年 USA:MGM (Metro-Goldwyn-Mayer) [aka MGM-UA] [us]

Directed by Robert Clouse
Produced by Fred Weintraub
Written by Charles Robert Carner Dan Tyler Moore(novel The Terrible Game)
Cinematography by Godfrey A. Godar
Original music by Alfi Kabiljo
Production Design by Veljko Despotovic
Film Editing by Robert A. Ferretti
Lee Milliner .... production sound and sound fx editor fight sequences

Cast
Kurt Thomas .... Jonathan Cabot
Tetchie Agbayani .... Princess Rubali
Richard Norton (I) .... Zamir
Edward Bell .... Paley
John Barrett .... Gomez
Conan Lee .... Hao
Bob Schott .... Thorg
Buck Kartalian .... The Kahn
Eric Lawson .... Colonel Cabot
Sonny Barnes .... Western Trainer
Tadashi Yamashita .... Eastern Trainer

(武田)
 中央アジアの国パルクメニスタンでは、死のゲームが行われ、生き延びたものには入国と願いをひとつかなえてもらえるという賞品が与えられる。この国に核警戒エリアを作るため政府は一人のオリンピック選手を鍛え上げて送り込んだ…。

 まずはこれをニンジャ映画の範疇に入れていいのかどうか。ニンジャではなく、あくまで兵士としてそれらしい黒装束の男達は出てくる。ただし、左側のポスターにあるような(ジムカタのファンページで入手。なんでこんな映画にファンページがあるんだ?)手裏剣持ったいかにもニンジャってな奴はでてこないので、このポスターもうそっぱち。しかしコナン・リー(出場者の一人)、ヤマシタ・タダシ(武術の教授)といった面々から見てロバート・クローズ(うわっ、なんでロバート・クローズがこんなところに登場するかな)がニンジャ映画にインスパイアされていることは間違い無い。もし“カラテNINJAジムカタ”なんて邦題つけた奴が、黒装束がでてるからという理由だけでなく、ここまで理解して名前をつけたなら、相当な理解者と見ていいだろう。まぁ、1985年製作ということから、おりからのニンジャ映画ブームにのっかる形で、黒装束がでてりゃいいやってな程度かもしれないが。

 ストーリーはめちゃめちゃなんだがロバート・クローズだけに基本は守っているので映画として見れないことはない。ただし劇中で“東洋の武術と、西洋の格闘技術すなわち体操を組み合わせ云々”と語られるように、生粋のジムナストがその動きを利用して格闘に見せかけているのでアクションはトホホである。右の写真は旋回を利用して周りの狂人を薙ぎ倒しているところ。

 あえてこの映画の見るべき点を上げれば、後半数十分に渡って描写される“狂人の町”の場面だろうか。わけのわからない奇声をあげて自分の腕を叩き切る男・うめきながらぺたぺたと触ってくる老女達・後頭部に人面をつけた男など、異様な場面が続く。たぶん“きちがいの町”なんだろう。物語から浮いているが、ここが無ければ殆ど価値のない映画と言って間違いないと思う。

 たしかにカルトには成り得るかもしれない。

(不死川)
 これはニンジャ映画ではない。冒険映画である。ストーリーについては武田が書いている通り。この映画の「格闘体操」という概念は、高橋留美子の「らんま1/2」の「格闘新体操」や「格闘フィギュアスケート」というネタに大きな影響を与えたといわれている。(もっとも、私が今なんとなく思い付いて言っているだけだが。)
 「異常者の村」(英語では「きちがいの村」と言っていた)で、追い詰められる主人公のうしろに、なんに使う道具かはわからないが、なんだか体操の「あんば」みたいなものがおいてある。ま、まさか旋回!?と思ったら本当に旋回しはじめたので大笑いした。
 他の見どころとしては、主人公が武術の修行をするところがある。逆立ちして階段をのぼったり降りたり(大山倍達か!?)、なかなか本当に凄いことをしているのだが、コーチがなぜか日本語で(中央アジアなのに!)声をかけるのである。それもかなり日本人離れした発音の。
 「がんばれー。がんばれー。よくやったなー。よくやったなー。・・・」
 『ドラゴン怒りの鉄拳』の「おまえはたんろんか」『ニンジャ』の「とまれー。このかたなあげるから、とまれー」を思い出していただけるとそれに近いと思う。

→ニンジャ映画各論へ