(50)キラー・エリート

"The Killer Elite"/"キラー・エリート" 1975年 USA:Exeter Associates
監督 Sam Peckinpah
脚本 Marc Norman / Robert Rostand / Stirling Silliphant
製作 Martin Baum / Helmut Dantine / Arthur Lewis
音楽 Jerry Fielding
撮影 Philip Lathrop

出演
James Caan .... Mike Locken
Robert Duvall .... George Hansen
Arthur Hill .... Cap Collins
Bo Hopkins .... Jerome Miller
Mako .... Yuen Chung
Burt Young .... Mac
Gig Young .... Laurence Weyburn
Tom Clancy .... O'Leary
Tiana Alexandra .... Tommie


(武田)
 サム・ペキンパー監督のやっつけ仕事の一本。脚本どころかジェームズ・カーンまでやる気なし。マコ岩松以外は思い出したくもない作品かも知れないが、残念ながらニンジャが出てくる初期のものとしては出さないわけにはいかないので晒しあげることにする。

キラー・エリートの登場人物たち

 CIAの下部組織に所属する胸毛男ジェームズ・カーン。仲間の裏切りによりクリップルにされるが、付け焼刃の太極拳で復活。病院で調達した看護婦と一緒に暮らしていると中国の政治家の護衛を依頼される。ガンマニアのサイコと車の修理工をしてるクレイジーとともに任務につくが、護衛すべき奴らは「闇を使う」とか言ってニンジャ衣装でお出かけし勝手に敵につかまる娘とニンジャと戦いたがるマコ岩松だった!わらわら出てくるニンジャどもを一掃してミッション・コンプリートってな内容。


バーン うひゃー

 初期のニンジャ作品のためまだニンジャが驚異的な強さを持つって設定でもなく、刀を持って駆け寄ったら銃で薙ぎ倒され、小娘には華麗な後ろ回し蹴りを決められ、小男にさえ抱え上げられて海に放り投げられる。…はぁ、なさけない。まあ大体こんな普通の映画に突然登場してくる時点で場違いなんだよな。


小男に海に落とされるニンジャ(弱!!)(左)なぜか試合をはじめる政治家(右)

 しかし護衛すべき政治家とニンジャが戦ってるってのに横でうだ話して「ちびの方に賭ける」とか言ってる主人公ってどうよ!?もしかしたら「あ、別に主人公たちが最後にバトルしなくていいんだ」ってなことをフィルマークが真似したんだったらあんたらのせいだぞ。


ぼんやり試合を眺める主人公たち

(不死川)
 主人公のにやけた男は諜報機関のエリートだったが、友人の裏切りにあって重傷を負い、上司にもおまえはもういらない、なんて言われてしまう。しかしサンフランシスコの病院ですごいリハビリをして、ついでに看護婦も落としたりして、ほとんど回復することに成功する。このあたり割と普通の70年代映画で、面白く見てしまった。リハビリのシーンで変な太極拳じじいが出てきたり、空手道場でもみあげの長い黒人に投げられたりしているのを見て「ん?」とは思ったが、まあこういうところで体を鍛えるのも悪くないかな、と見過ごしていた。しかし別に太極拳や空手のシーンはそれきり出てこなかった。(このあたりからだんだんおかしなことになっていく。)とにかく主人公は順調に体を回復させていた。そこに上司が来てまた仕事をしてくれという。東洋某国の要人チャンを暗殺者たちから守り、無事に船まで届けろ、というのだ。暗殺者たちは日本のニンジャ軍団(!?)で、主人公を裏切った元友人もその仲間に加わっているという。それを聞いた主人公は仲間を集めて仕事に乗り出す。いろいろあって、なんとか港まで一行を連れてくる。ところがチャンの娘は主人公が止めるのも聞かず「私は闇を使う」とかいう意味の分からないことを言いながらクノイチ風衣装を身につけてかくまわれていた小屋から出て行ってしまう。チャンも「娘は慣れています」などといってそのままにする。あきれる主人公。で、やっぱりというか、娘は敵(元友人)に捕まってしまう。なんのために出て行ったのかまったくわからない。

馬鹿?

で、いろいろ会話があるのだが、実は主人公の上司の命令で裏切ったが、友人のよしみで殺さなかったらしいことなどがわかる。そんなことを喋っているうちに主人公の仲間のスナイパー(この人が「腎臓売れ」の杉山会長を思わせるいい顔なのだ)に元友人はあっさり撃ち殺されてしまう。で、なんだかよくわからないけれども、「船の墓場」という廃船がいっぱい並んでいる場所で上司の手足を撃ち抜いてからニンジャ軍団(衣装は灰色と黒色のがいた)と対決。マシンガンの乱射でムシケラのように倒されるニンジャ軍団。肉弾戦になってもあっさり蹴り倒され、海に投げ落とされるニンジャ軍団。そこにニンジャ軍団の首領登場!「コイ!!」「ヨシ!」なぜかニンジャ軍団首領とチャンが日本刀で一騎打ち。主人公たちはついて行けん、という風情で「どっちが勝つと思う?」「あの小さいほうに賭ける」などと言いつつぼんやりその勝負を見守る。結局チャンが勝ってよかったね。で、去っていく主人公。―終わり―


ニンジャ軍団首領(左)ニンジャ弱すぎ(右)

 ひどい映画だった。この映画はニンジャ映画の元祖ということになっているが、ここで描かれているニンジャは「なんだかよくわからないけど東洋の神秘ってやつ?」な論理に基づいて行動するが、結局マシンガンにはかなわない無力なものである。義和拳を修行すると鉄砲の弾にあたらないと信じて戦ったが結局敗北した「義和団の乱」を思い起こさせて悲しい。われわれの知っている「超人的な技能を身につけていて、どんな不可能も可能にするすごい人々」としてのニンジャは、やはりショー・コスギが発明したもののようだ。だいたい「ニンジャというのは…」という説明が一切ないので、なんであんなやつらが襲ってきたのか全然わからない。日本人は「なんだかよくわからないけど突然襲ってくる得体の知れないやつら」だとその頃は思われていたのかもしれない。

(追記・もう一回武田と見たときの感想文)何度も「これいつまで続くん?」と聞かれる。アンニュイな雰囲気がなんとなく好きなんだが、よく考えたら話の筋が全然通じてない。工場の男はなんで爆弾をしかけたのか?(豆男の店に主人公が来ることは知らなかったはずだし、知っていたとしてもあの車を借りるとはわからなかったはず)爆弾が車の下についているとなんでわかったのか?結局主人公は昔の相棒と何がしたかったのか?(途中でジェロームが話を中断させてしまうのでわからず。なんかねっとりした関係に見える)そもそもなんでニンジャ軍団が出てくるのか?チャンの娘はクノイチ姿で何がしたかったのか?さっぱりわからん。この映画の登場人物の真似の仕方:目を合わせないで笑いながら「Year....」と返事をする。

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